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市況分析から分かった!自粛解除後の店舗集客のポイント

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4月の緊急事態宣言の発令から3ヶ月が経過しました。5月21日に大阪府で緊急事態宣言が解除、6月19日に県境をまたぐ移動制限が解除されるまで、日々の生活は外出自粛を余儀なくされたことに加えて、コロナ不況とも言える経済の停滞による将来の仕事や収入への懸念によって、不動産市況も大きく後退することとなりました。

その一方で、各種制限が解除されたことによって、街には少しづつ人の活気が戻りつつあるように思います。加えて、今月23日〜26日には緊急事態宣言の解除後初となる大型連休があり、新型コロナウイルスの影響で停滞気味のビジネスを打破していきたいと考える不動産業者さまも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、レインズが公開している各種データから、現在の市況と今後の集客について考えてみたいと思います。

関西圏4月の中古成約数は前年同月比大幅減

①2020年4月・5月の中古マンション成約数と前年同月比(関西2府1県)

4月 5月
  成約数 前年同月比 成約数 前年同月比
大阪府 480  -41.7% 392  -34.4%
京都府 123  -34.2% 87  -31.0%
兵庫県 290  -41.3% 239  -31.7%

出典:レインズ月例マーケットウォッチ(2020年5月)

2020年4月の関西2府1県の中古マンション成約数は、大阪と兵庫で前年同月比−約40%、京都で−約35%となりました。5月はやや持ち直していますが、それでもいずれの府県ともに−30%台となっています。

成約件数の大幅減は、記事冒頭でも述べたように、外出自粛と不透明な経済情勢によるものが大きいと思われます。

前回(2020年6月19日)公開した記事(「コロナ禍の住まい探し、生活者の71.2%が「どうしたらいいか分からない」)でもご紹介したように、住み替え・建て替え検討中のエンドユーザーの約70%がコロナ禍においてどうしたらいいかわからず、住み替え・建て替えを「延期」「未定」としています。

実際の貴店の状況はいかがでしょうか?私のまわりの仲介業者さまに聞くと、一定数の問い合わせはあったものの、来店や内見が減ったという声を耳にすることが多いと感じています。

②2020年4月・5月の中古一戸建て成約数と前年同月比(関西2府1県)

  4月 5月
  成約数 前年同月比 成約数 前年同月比
大阪府 331 -29.0% 337 -6.6%
京都府 148 -21.7% 127 -17.0%
兵庫県 198 -29.5% 214 3.4%

出典:レインズ月例マーケットウォッチ(2020年5月)

2020年4月の関西2府1県の中古一戸建て成約数は、大阪と兵庫で前年同月比−約30%、京都で−約20%となりました。5月は大阪・兵庫で持ち直していて、特に兵庫は前年同月比プラスとなっています。中古マンションに比べると中古戸建ての方が減少幅は小さくなっています。

これは、テレワークの普及による住まい探しのトレンドの変化が影響している可能性が考えられます。

前々回(2020年5月9日)に公開した記事「テレワーク普及による住まい探しトレンドの変化。アフターコロナの不動産仲介業を考える」でも触れていますが、テレワークの普及によって自宅で仕事をする際のスペースや設備への需要が高まっています。比較的スペースに余裕のある郊外の戸建てニーズの高まりを反映していると言えるかもしれません。

成約平米単価が大きく下げなかった理由とは?

①2020年4月・5月の中古マンション平米単価と前年同月比(関西2府1県)

  4月 5月
  平米単価(万円) 前年同月比 平米単価(万円) 前年同月比
大阪府 35.68  -0.2% 33.02  -6.9%
京都府 39.07  -8.2% 35.31  -7.6%
兵庫県 26.87  -13.6% 27.15  -7.3%

出典:レインズ月例マーケットウォッチ(2020年5月)

一方、2020年4月と5月の中古マンション平米単価をみると、成約数の大幅減に比べた価格の下げ幅は小幅と言えるでしょう。成約数が−40%台だった大阪・兵庫も、平米単価でみると兵庫で−13.6%、大阪は−0.2%程度にとどまっています。5月は大阪で減少幅が拡大していますが、それでも成約数の減少幅に比べれば小幅と言えるでしょう。

②成約平米単価が大きく下げなかった理由とは?

中古マンションの成約価格(平米単価)と前年同月比

  5月
  平米単価(万円) 前年同月比
東京23区 74.13  7.6%
東京都下 36.13  -9.9%

出典:「アットホーム不動産情報ネットワークにおける首都圏の新築戸建・中古マンション価格」

上の表は、アットホーム(株)の登録物件の成約価格です。東京23区と東京都下で下げ幅が大きく異なっています。これは、都心に所在する希少性の高い物件・人気のある物件は、市況の良し悪しに左右されにくく、売りに出ても価格をあまり値を下げることなく買い手がすぐにつくことから、前年比マイナスの都下に対して前年比上昇という結果となったと思われます。

2府1県に占める希少性の高い物件・人気物件の割合はわかりませんが、そもそも4月・5月は成約がそれほど多くない時期のため、成約件数に占める人気物件の割合は比較的高い状況にあったことが推測され、そういったことが影響した結果と言えそうです。

各種制限解除とエンドユーザーの動向

エンドユーザーの動向は、上述した通り、来店や内見といった行動は控えていても、Web上での情報収集はむしろ積極的に行っている状況にあります。コロナ禍によって住み替え需要が消失したわけではなく、経済情勢の見通しがある程度クリアになること、新型コロナウイルスへの感染リスクの低減されることなどによって来店・内見増、ひいては成約数が回復に向かうというシナリオが考えられます。

内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」が発表している「人の流れの推移(7月2日(木)19時台の増減率)」によれば、梅田駅周辺の人の流れは、緊急事態宣言前と比較して51.6%増、心斎橋駅は29.4%増となっており、6月に入ってからは関西圏の他の主要都市においても右肩上がりで人の流れが増加する傾向にあります。この流れを貴店への来店および貴社物件への内見につなげていくことが重要です。

今後の不動産市況とウィズコロナにおける集客のポイント

不動産市況については、今後も成約数が低調に推移した場合、成約平米単価は下落傾向となっていくことが想定されます。

理由としては、コロナウイルス感染拡大の第二波が到来する可能性が極めて高いとされていることと、コロナ不況とも言える経済の低迷の可能性が挙げられます。経済の低迷によって不動産の売却(特に任売・競売物件)が増加すれば、物件数の増加による価格の下落圧力が高まることになるでしょう。

その一方で、価格が下落することで、これまでなかなかマーケットに出てこなかった希少物件がマーケットに出てくる可能性が高まることは、売買仲介業的にはメリットと言えるでしょう。物件の仕入れに注力することもより重要性が増していくと思われます。

集客面では、街に人が戻ってきたことに加え、この流れを加速させるべく、8月からは政府主導の観光需要喚起策「Go to キャンペーン」が実施される予定となっています。

そのため、7月の4連休は8月以降のキャンペーン期間と比較すると、遠出する人が比較的少なく、貴店への来店誘導がしやすいと言えるでしょう。

安心安全な住まい探し環境を整え、住まい探しが進んでいないエンドユーザーを積極的に取り込み、来店・内見に誘導していくことが重要になります。

その際のポイントとしては、自社の商圏における集客(チラシやポスティング)はもとより、ポータルサイトや自社ホームページなどを活用した広域の集客も重要になってくるでしょう。テレワークの普及により、自宅におけるワークスペースの確保などを目的とした郊外物件(特に戸建て)のニーズが高まってきています。

これまで商圏ではないと考えていたエリアの居住者からも問い合わせを獲得できる可能性が高まっていますので、訴求するメディアと訴求内容をもう一度点検し、連休の集客に備えましょう。

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