コラム 不動産 業界動向

コロナ禍で高まる相続への意識。不動産仲介業務におけるビジネスチャンスに変えるためのポイントとは?

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緊急事態宣言の解除から2ヶ月が経とうとしていますが、ここにきて感染者数が首都圏などの都市部を中心に増加傾向にあり、まだまだ予断を許さない状況が続いています。

そんな中、今回取り上げるのは、このコロナ禍が相続の意識にどのような影響を与えているかについての調査です。調査結果によると、「新型コロナウイルス」の流行を受けて、「将来の相続」について「考えることが増えた」と回答した人は全体で17.2%となりました。

とりわけ、相続人(相続される側)である30代が28.1%と高く、同じく相続人である他世代(40代・50代)よりも10ポイント程度高いことは特筆点として挙げることができるかと思います。

では、なぜ若年層で相続への意識の変化が起きた割合が高いのか。その背景を探りつつ、不動産仲介業にどのような影響、とりわけどのようにビジネスチャンスにつなげていくことができるのかについて考えてみたいと思います。

知識不足が目立つ30代の相続意識

30代が他世代に比べて、相続に関心意識の高まりが強い傾向があることは、前述した通りです。では、具体的に相続のどういったことに関心が高まっているのでしょうか?

Q(相続について)どのような不安がありますか?(フリーアンサー)<30代(n=50)>

1位 税金(相続税・所得税の節税):53.2%

2位 生前贈与や遺言書作成などの生前対策:43.3%

3位 不動産や銀行口座などの名義変更手続き・葬儀の手続き:40.9%

将来的な相続で不安に思っていることを聞いてみたところ、「相続税・所得税などの税金の不安」「生前贈与や遺言書作成などの生前対策」が上位となり、同じく相続人の40代・50代に比べるといずれも10ポイント以上高い結果となっています。

ちなみに、同じ質問について被相続人(60代〜80代以上)の回答割合をみてみると、いずれの回答項目も30代に比べて15〜20ポイント程度低くなっています。

被相続人は、すでに相続の準備を進めているため、必要な手続きやその知識については概ね把握できていることから、コロナ禍においても大勢に影響はない状況であることがわかる結果と言えるでしょう。

乖離が大きい親世代と子世代の相続意識

同じくランドマーク税理士法人が実施した「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」によれば、実家の相続について親世代と子ども世代との認識にずれがあることが見えてきます。

「将来実家を相続する(させる)つもりはありますか?」との問いに対して、親世代(被相続人)は全体で約60%程度が「実家を子どもに相続させるつもりである」と回答していますが、子世代(相続人)では、全体の約36%にとどまる結果となっています。

とりわけ子世代の中でも30代は「まだ考えていない」と回答した人が54%と過半数に達したのは、前述したコロナ禍による相続意識の高まりと通底するものがあるように思います。

晩婚化が進み、持家率の低下や、世間的にはシェアリングエコノミーが広がりをみせる中、相続も含めた資産の所有についてはそれほど関心がないことがわかる結果となっています。親子の間で価値観の相違が浮き彫りになっていると言えるでしょう。

コロナ禍によって深まる親子の相続に関するコミュニケーション

ここまでを総括すると、相続人の30代は他の年代に比べて、相続への意識が低く、関連する知識の理解についても十分ではない中、新型コロナウイルス感染拡大が広がったことで、親が感染して亡くなった場合の相続が一気に自分事化され、危機感を持ったという実態がみえてきます。

一方の親世代は、すでに自身の所有財産について、どうするべきかについて考えており、コロナによって左右される要素は比較的少ない状況にあるようです。

むしろ子世代の関心の高まりによって、相続に関する親子間での議論の深まりや意識の共有が進む可能性が高まるものと考えられます。その際、資産の多くを占める不動産についても、子どもや孫にどのように相続していくかについての協議も進んでいくことでしょう。

前掲の「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」によれば、相続後の実家については、親子ともに「自分(子ども)用の住居として活用する」という回答が最多で、全世代で50%前後を占めるという結果になっています。

しかし、「賃貸住宅として活用」「売却する」などの活用については、親子間で意見の相違が顕著にみられます。また、被相続人においては3人に1人が「子どもに任せる」と回答するなど、相続後の活用についてはさほど関心が高くない状況です。

人口減少・少子高齢化社会においても成長が見込める相続ビジネス

この親子間のニーズ・意識の乖離や知識量の格差は、不動産仲介業者にとっては、商機拡大の絶好の機会と言えます。

資産の相続に関する知識・興味がない子世代、相続した資産の活用にはあまり関心のないものの、終活は粛々と進めたい親世代という両者にとって、法律・税務・不動産に関する幅広い知識を持ったプロの存在なくして相続は前に進めることはできません

一方の不動産仲介業者にとっても、少子高齢化・人口減少が今後続くとされる中、顧客の財産相続に関する相談対応の仕組みを整備し、相談をきっかけに顧客の資産状況や家族構成について把握することで、誰に・何を・いくらでといった具体的な解決策を提示する手段を確立できることは有益なことです。

不動産の売却や資産の組み換え、収益物件の購入やアパートの建築などの提案企画によって獲得した各種提案によって収益化を図り、顧客のライフステージにおける不動産の総合コンサルティングにビジネスチャンスを見出す事業者が増加しています。

加えて、団塊の世代が後期高齢者になる令和5年前後から以降の数年間は、相続案件が大量に発生すると見込まれ、被相続人の相続への関心も年々さらに高まってきています。人口減少・少子高齢化社会においても、相続ビジネスは成長が見込める領域と言えるのではないでしょうか。

これまで、時間と手間がかかるばかりで儲からないとされていた相続マーケットですが、時代の変化に伴って「相続はビジネスになる」という認識が広がりつつあり、顧客の囲い込みという観点からも多くの不動産業者が注力するようになっています。

コロナ禍によってさらに注目が高まる相続と不動産仲介業におけるビジネスチャンス

司法統計によると、裁判にまで発展する相続事件の75%は遺産額5,000万円以下で、その大半が「遺産分割」となっています。この遺産の多くは不動産で、分割しにくいからこそ係争に発展しやすく、相続でもめないためには不動産の分け方が鍵となります。

不動産の相続に関する幅広い知識と顧客の相談に適切に対応でできるコンサルティングスキル多様なソリューション提案力を備えることで地域の地主や富裕顧客とのコネクションをより確かなものにし、自宅・遊休地、収益資産などのさまざまな不動産資産に関して信頼できるパートナーとしてネットワークを構築していくことの重要性が今後ますます高まっていくものと思われます。

<「相続人、被相続人の意識調査」調査概要>

・調査時期:2020年6月4日~6月5日

・調査方法:インターネットリサーチ

・居住地:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)

・年代:①60・70・80代(被相続人)②30・40・50代(相続人)

・性別:男女不問

・条件:①実親が亡くなっており、自身の資産を子供に相続する予定の方で自身が1都3県に持家を所有している方②実親が存命であり、いずれ資産の相続を受ける予定の方で実親が1都3県に持家を所有している方

・回収サンプル数:1,034

<「首都圏戸建持家の相続についてのインターネット調査」調査概要>

・調査時期:2019年11月29日~12月2日

・調査方法:インターネットリサーチ

・対象者:居住地 首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)

     年 代 ①30~50代(相続人)②60・70代以上(被相続人)、性別不問

     条 件 ①実親が一都三県に戸建住宅を所有している

         ②1都三県に戸建住宅を所有し、子供がいる

・回答数:1,030

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