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株式を相続するときの手続き&評価方法

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亡くなった人の財産に株式が含まれているとき、どのように相続すればよいのでしょうか。

取り分は決まっていても、名義変更(移管)のやり方が分からなかったり、相続税申告の際にどう評価すればよいのか見当もつかないことが往々にしてあります。

本記事では、専門家に相談する前に承継手続き全体の流れについてイメージできるよう、株式相続の基本知識を押さえます。

 

株式には2種類ある

そもそも株式には「上場株式」「非上場株式」の2種類があり、相続する際の手続きもそれぞれ異なります。

 

●上場株式とは

東京や大阪などの証券取引所で取引されており、価格が公開されて誰でも売買に参加できるタイプの株式です。

売買価格の差を利用した投資益や株主優待を目当てに保有されることが多いものでもあります。

●非上場株式とは

価格が公開されておらず、発行会社の経営陣やその親族などで保有される株式です。

議決権を確保するために保有されることが多く、事業承継の際は先代経営者から後継者へと譲渡する必要があります。

 

相続手続きの難易度で評価すると、上場株式のほうが簡単です。証券会社に必要書類を提出するだけで名義変更でき、相続税の計算ベースとなる評価額(株価)もネットで調べればすぐに分かるからです。換金したい場合も、電話や証券口座の操作で簡単に行えます。

 

一方で、非上場株式の相続手続きは複雑です。

発行会社で株主の名前を書き替えてもらう手続きが必要ですが、この際、議決権を集めたい経営陣となんらかの交渉をしなければならない可能性があります。評価額も会社の決算書を参照して自分で計算する必要があり、換金したいときも自分で買い手を見つけなければなりません。

 

それでは具体的に、どんな方法で相続し税申告すればよいのでしょうか。

 

上場株式を相続する方法

上場株式を相続する際の手続き方法

上場株式は証券口座で保管されており、口座のある会社で「移管」もしくは「売却」の手続きを申請することで相続手続きが完了します。

相続人が複数いる場合、そのうちの一人が代表して手続き申請すれば構いません。その際に下記のような書類が必要となるので、証券会社に確認をとってから準備しましょう。

 

【必要書類】上場株式の相続する場合

  • 証券会社指定の手続依頼書(記入済みのもの)
  • 相続関係を示す戸籍謄本(被相続人+相続人全員分)
  • 遺言書or遺産分割協議書+相続人全員分の印鑑証明書
  • 相続人全員分の同意書

 

移管(株式を売らずにそのまま承継する手続き)の場合、相続人名義の証券口座がない場合は新規開設を勧められます。勧めがあったときは、開設に必要な手続きや書類についても案内してもらいましょう。

 

相続税申告時の評価方法

上場株式の相続税を申告する際は、下記の方法で評価します。

 

【上場株式の評価方法】

①死亡日の終値

②死亡日の属する月を含む3か月間の月毎の終値平均

→上場株式の課税評価額=①~②のうちの最安値×相続した株式数

 

※終値とは…一定の取引期間の最後についた株価を指します。課税評価上の終値とは、毎日の取引終了時間についた価格を指します。

 

非上場株式を相続する方法

非上場株式を相続する方法

非上場株式の相続の際は、発行する会社へ株主の名前書き換えを請求しなければなりません。

株式は会社そのものを表すと言っても過言ではなく、請求を受けた経営陣は「株主が誰なのか」「請求が本当に株主(もしくは相続人)からのものか」を入念にチェックします。

そこで相続人は、上場株式の相続手続きに準じる下記の書類を提出しなければなりません。

 

【必要書類】上場株式の相続する場合

  • 株券(※株券不発行会社の場合は不要)
  • 株式名義書換請求書(※会社指定の書式のもの)
  • 株主表(※同上)
  • 遺言書or遺産分割協議書+相続人全員分の印鑑証明書
  • 相続人全員分の同意書

 

ここで起こりがちなのが「株券が見つからない」「被相続人が親族経営の会社の株主であることは知っているけれど、肝心の会社名が分からない」といった問題です。

このようなトラブルが起きた場合は、専門家に依頼して調べてもらうか、名義変更しなければならない株式の詳細や株券そのものを地道に捜索しなければなりません。

 

相続税申告時の評価方法

非上場株式は株価がはっきりと決まっているわけではありません。評価額について確かなのは、会社の経営状態と規模によって価値が変動することです。当然、株式の買い手によっても金額が変わるでしょう。

そこで税法では、相続税申告時の統一基準として「まず発行会社の規模を大・中・小のいずれかに分類して、それぞれに合った適切な評価を使う」といった流れで評価方法を指定しています。

 

●大会社の場合

…類似業種の会社での「配当金額」「利益金額」「純資産額」との比較で株式を評価します(類似業種批准方式)。

●中会社の場合

…発行企業の決算書に記載されている「純資産価額」を株式の総発行数で割り、1株あたりの評価を算出します(純資産価額方式)。

●小会社の場合

…類似業種批准方式と純資産価額方式のハイブリット型の評価方法をとります(併用方式)。

 

以上の評価方法のほかにも、経営に関与しない株主にとって価値の低い「同族会社の株式」には配当還元方式など、株式の実質的な価値にあわせた評価方法が指定されています。

いずれにしても、決算書に書かれている内容を理解しないと、適切に評価するのは困難です、

 

売却方法

非上場株式は市場で広く取引されているわけではありません。その上、発行会社の多くは中小企業であり、知名度が高いとは言えない事情を背景に買い手を見つけづらい問題を抱えています。

しかし、受け継いだ株式に譲渡制限がかかっていたり、発行会社が何らかの変更(定款変更や事業譲渡など)をしようとしている場合は、会社自体に買い取りを促す権利が株主には認められています。

この権利を上手に活用することで、たやすく換金できるでしょう。

 

おわりに

株式相続の手続き全体の流れは、そう難しいものではありません。上場株式なら証券会社に任せきりで手続きを終えられる場合がほとんどです。

一方で非上場株式は、相続税申告時の評価や売却の際にある程度「決算書の用語を理解しながら読めるスキル」が求められるのは否めません。

細かい点については、専門家のサポートを受けると良いでしょう。

 

 

 

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