後見

任意後見 自分が認知症になったら誰に面倒をみてもらいたいですか?

投稿日:2013-07-21 更新日:

こんにちは。司法書士の木村安一です。箕面もすっかり暑いです。セミも鳴き出しました。山の手の、ちょっと古いけれど清潔感のあるホテルのプールサイドみたいなところで日光浴なんかしたら気持ちがよさそうです。そういうのってあんまりないんでしょうかね。探してもなかなか見つからないです。

と、ぼやいていたら、「箕面スパガーデンがまさにそうやろ」という指摘を受けました。たしかにそうかもしれません。今年リニューアルオープンするようですね。行ってみようかな。

今日は任意後見制度について少しお話したいと思います。

ご存じのとおり、遺言とは自分の死後の財産処分方法を決めることですね。遺言は自分の財産管理の手段のひとつです。元気なうちの財産管理は自分でできます。死後の財産処分を自分で決めておくのが遺言です。ここで、もうひとつ忘れてはならないことがあります。それは、生きている間に判断能力が不十分になってしまった場合の財産管理です。

認知症などの精神上の障害によって自己の財産を管理できない状態になった場合、成年後見人が財産を管理することになります(これを「法定後見制度」といいます)。しかし、誰が成年後見人に選任されるかはわかりませんし、自分の意思が十分に尊重されないおそれもあります。知らない人に自分の財産や権利を管理されるのはなんだか不安です。

そこで、将来自分の判断能力が不十分になった場合に備えて、考える力が十分にあるうちに、自分が最も信用できる人との間で、判断能力が不十分な状態に陥った状態以降の財産管理契約等を委ねる契約(任意後見契約)を締結しておきます。これにより不測の事態に備えることができます。これを任意後見制度といいます。

任意後見の活用例をいくつか紹介します。

まず、自分の介護をしっかりばっちりやってもらうための方法として、遺言と任意後見をセットで作成することが考えられます。判断能力が低下した後も自分の意思を尊重して介護してほしいとは誰もが願うことです。しかし、実際にはその人の意思を尊重して介護等をするのはとても大変なことです。

そこで、自分を介護してくれる人と任意後見契約を締結しておき、判断能力低下後の財産管理や福祉サービスの手配等を依頼するとともに、自分が死亡した場合には、その人に、相当の財産を遺贈する(相続人である場合には、多くの財産が相続されるようにしておく)内容の遺言をしておきます。その人の労に報いる方法についてもしっかり決めておくわけですね。このようにしておけば、介護等をする人も安心して介護できるし、また、可能な限り意思を尊重した介護等をしてあげようという気持ちにもなるでしょう。

次に、自分に病弱な配偶者や障害のある子どもがいるケースがあります。自分がまだ元気なうちは、病弱な配偶者や障害のある子供に有形無形の支援をすることが可能ですが、自分が死んでしまえば、支援はできなくなってしまいます。認知症等により判断能力が不十分になった場合も、同じように支援ができなくなってしまいます。このような問題は「親亡き後の財産管理」の問題と呼ばれています。

そこでどうするか。まず、自分が死亡した場合に備えます。遺言により、配偶者や子どもの生活のため、配偶者や子どもの取り分が多くなるよう相続分や遺産分割方法を指定したり、配偶者や子どもの面倒を見ることを負担として特定の相続人や第三者に財産を遺すよう定めたりしておきます。

そして次に、自分の判断能力がなくなった場合にも備えます。信頼できる人と任意後見契約を締結しておき、自分の代わりに配偶者や子どもの生活のため財産を処分したり福祉サービスを手配したりするよう定めておくのです。

このように、遺言と任意後見をセットで活用しておけば、病弱な配偶者や障害のある子どもを継続的に支援することが可能になります。

この任意後見制度ですが、最近件数が増えてきてはいるものの、正直なところまだまだ馴染みが薄いかもしれませんね。しかし、昨今の過剰な延命治療問題や孤独死問題等を考えると、限られた人生を実り豊かなものにしてくれる強力なツールだと思うのですが、どうでしょう。

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