相続

法定相続人・法定相続分とは?―”財産の取り分”を計算するための基礎知識

投稿日:2020-01-09 更新日:

相続手続きを始めようとするとき、最初にはっきりとさせたいのが「誰に相続権があるのか」「各自の相続割合はどのくらいなのか」の2点です。

それぞれ民法で具体的に指定されており、遺言書がなく家族間の話し合いによって取り分を決めるときに気を付ける必要があります。この際ややこしく感じるのは、家族構成が1人でも変わると取り分に大きく違いが出る点でしょう。

生前準備される方にとっても重要な「法定相続人・法定相続分」について、みなさんと一緒に押さえたいと思います。

 

相続人の範囲は法律で決まっている

相続権のある人(つまり相続人)と聞いて、誰をイメージするでしょうか。

一般に子ども・配偶者が相続人であることが知られていますが、民法ではさらに直系尊属(血の繋がった親以上の世代)・兄弟姉妹にも相続権があるとされています。これら相続権のある人をまとめて、法律用語で「法定相続人」と呼びます。

【ポイント】法定相続人の範囲

  • 配偶者
  • 子ども
  • 父母・祖父母・曾祖父母(直系尊属)
  • 兄弟姉妹

 

法定相続人の優先順位

では、法定相続人の権利は平等と言えるのでしょうか。答えはNOです。

民法ではさらに、亡くなった人との続柄に応じて「相続順位」を決めているからです。

【ポイント】法定相続人の「相続順位」

  • 配偶者:順位に関係なく、必ず一定割合で相続できる
  • 子ども:第一位
  • 直系尊属:第二位
  • 兄弟姉妹:第三位

 

ここで言う順位とは「遺産をもらう優先順位」を指しています。順位の違う複数の法定相続人がいる場合、先順位の人が遺産をまるまる受け継ぐことが出来ます。このとき、後順位の人に取り分はありません。

 

参考法定相続人&相続順位のイメージ図

相続順位

 

配偶者はかならず相続できる

押さえておきたいのは、亡くなった人の配偶者はかならず相続できる点です。反対に言えば、故人の配偶者が存命である限り、他の相続人だけで遺産を総取りすることが出来ません。

「まず配偶者が一定割合で取り分を決め、残った遺産を先順位の人が受け取る」という流れがここでのポイントです。

【まとめ】相続の優先順位

配偶者(一定割合で取り分を決める) → 子ども(第一位) → 直系尊属(第二位) → 兄弟姉妹(第三位)

※配偶者がすでに亡くなっているときは、子ども・直系尊属・兄弟姉妹のなかから先順位の人が総取り。

 

各相続人の取り分(法定相続分の割合)

相続の優先順位とともに、家族それぞれの相続割合の計算方法も指定されています(法律用語で”法定相続分”と呼びます)。

相続割合に影響するのは「亡くなった人の配偶者が存命かどうか」「取り分のある相続順位に何人いるか」の2点でしょう。というのも、これまで説明した相続の優先順位とあわせて、法定相続分の計算方法には次のようなルールがあるからです。

 

【法定相続分の計算ルール】

  • 配偶者は必ず相続する(割合は家族構成により3/4~1/2のあいだで変動)
  • 最先順位に複数の家族が含まれる場合、取り分を頭数で割って平等に分ける

少し分かりづらいので、具体例を挙げてみましょう。

 

配偶者がすでに亡くなっている場合

相続の時点で夫妻ともども亡くなっている場合、一番先の順位の人だけで相続をすると紹介しました。

同順位なら平等に分け合うので、各人の取り分は「遺産全体の評価額÷同順位の人数」で計算できます。

 

パターン1:子ども(3人)・父母・兄弟姉妹が存命の場合

→子どもでそれぞれ1/3ずつ相続

パターン2:父母・兄弟姉妹が存命の場合(子どもはいない)

→父母がそれぞれ1/2ずつ相続

パターン3:兄弟姉妹(2人)のみ存命の場合

→兄弟姉妹がそれぞれ1/2ずつ相続

 

参考法定相続分のイメージ(配偶者がすでに亡くなっている場合)

法定相続分1

 

配偶者が存命の場合

亡くなった方の配偶者が存命だと、少し計算方法が複雑になります。一緒に相続する人の順位により、配偶者の取り分が変動するからです。

 

【家族構成別】配偶者の相続割合

  • 子ども(第一位)と一緒に相続する場合:1/2
  • 直系尊属(第二位)と一緒に相続する場合:2/3
  • 兄弟姉妹(第三位)と一緒に相続する場合:3/4

 

配偶者の取り分さえ決まれば、他の家族の取り分は「(遺産全体の評価額-配偶者の取り分)÷同順位の人数」で計算できます。

 

パターン4:配偶者・子ども(3人)・父母・兄弟姉妹が全員存命の場合

→配偶者が1/2・子どもはそれぞれ1/6

パターン5:配偶者・父母・兄弟姉妹が存命の場合(子どもはいない)

→配偶者が2/3・父母はそれぞれ1/6

パターン6:配偶者・兄弟姉妹(2人)のみ存命の場合

→配偶者が3/4・兄弟姉妹はそれぞれ1/8

 

参考法定相続分のイメージ(配偶者が存命の場合)

法定相続分2

書類上or血縁上の家族でなくても相続権はある?

最近は家族のかたちも大きく変わってきました。戸籍上(あるいは血縁上)の繋がりのないご家族をお持ちのかたは、決して少なくありません。

「内縁の配偶者」「別のパートナーとの子」「養子縁組した子」といった関係でも、正式な家族同様に相続できるかどうか―この点はご家族全員にとって気がかりでしょう。

記事の最後に、この疑問にお答えしようと思います。

 

内縁の夫または妻

結論から述べると、遺された内縁関係の夫または妻に相続権はありません。

亡くなった方に法定相続人がいない場合に限り、内縁関係にあたる人が例外的に「特別縁故者」として相続できます。ただし、特別縁故者としての地位を得ても、家庭裁判所による清算(財産に含まれる債務の弁済等のことです)が終わるまで、遺産を受け取ることは出来ません。

 

生前のご準備として考えられるのは、やはり婚姻届を出して正式な夫婦になっておくことでしょう(あくまでも価値観の許す限りとなりますが…)。

 

元配偶者との子・非嫡出子

かつては「亡くなられた時点での配偶者との間の子」にしか相続権は認められていませんでした。しかし近年では、元配偶者の子(法律用語では”半血の子”)・非嫡出子(婚外で誕生した子)にも等しく相続権があるという見解が浸透しています。

 

ただし、婚外で誕生した子どもについては、父親の「認知」がない限り相続権がありません。

認知は生前に行う必要がなく、遺言書にしたためておくことも出来ます。ただ、遺された正式な家族から「聞いていなかった」との不満が出ることは避けられないでしょう。ご家族との関係を考慮しながら、いつ認知したほうがいいのか見極めるのがベストです。

 

養子

養子と養親との間にはかならず相続権が生じますが、実親側はそうとも限りません。

養子縁組には2つの種類があり、特別養子縁組だと実親との関係が切れてしまうからです。

 

【養子縁組】養子の持つ相続権の対象者

普通養子縁組:実親&養親
特別養子縁組:養親のみ(実親からは相続できない)

 

特別養子縁組でどうしても「実親と養子とのあいだで相続したい」という場合、遺言書に財産を譲り渡す旨を記載しておく必要があります。

 

おわりに

遺言書がなく話し合いで相続分を決めるときは、法定相続人・法定相続分という指標をもとにします。いざという時に混乱しないように、次のポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • 相続の優先順位は「配偶者→子(一位)→直系尊属(二位)→兄弟姉妹(三位)」
  • 配偶者の相続割合は「一緒に相続する人の順位」で変化する
  • 内縁の妻に相続権はないが、戸籍上or血縁上のない子でも相続できる

相続についてよくあるご質問があれば、今後も随時記事にしていきたいと思います。

 

 

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