先日、某社会福祉施設にて、入居者の家族の方向けに勉強会をさせていただいたところ、こんな質問を受けました。「複数の人が後見人になることはできるのですか?」答えは「はい」です。
複数の後見人を付ける場合にも、いくつかのパターンがあります。各成年後見人が同様の権限を単独で行使するように定めることもできますし、共同して権限を行使しなければならない旨を定めたり、成年後見人ごとに職務を分担するという定め方もできます。
今回、この方がこのような質問をなされたのは、親の後見を兄弟で共同でしたい、という思いからでした。確かに、兄弟姉妹のうちだれか一人だけが親の後見人になると、自身の仕事や家庭をもちながら日々の財産管理や家庭裁判所への報告するのは、かなりの負担になってしまいます。複数の兄弟が就任しておくことで、役割分担をしたり、その時動きやすい方が動く等、互いの負担を軽減することができます。また、共同で就任することで、互いに監督機能が作用するという利点もあります。
その他複数後見人が付く場合で多いのが、親族後見人と司法書士等職業後見人が共同で就任する場合です。通帳や印鑑を他人に預けることに少し抵抗はありませんか?そんな時、通帳等の日常的な財産管理は親族が行い、入院契約等の法律行為を職業後見人が分担することで、ご本人の混乱も軽減され、後見人となられた親族の方も、司法書士等と相談しながら、安心して後見人業務を行うことができます。
また、知的障害をもつお子さんをお持ちの親御さんは、「自分が死んでしまった後の子どもの行く末が心配。後見制度を利用したいが、自分が元気なうちは自分が面倒をみたい。」という悩みを抱えていらっしゃることがあります。その場合、司法書士と共同で後見人となることで、日常的な後見業務は親御さんが行い、法律に関わってくる業務などは司法書士が行うようにします。そうすれば、親御さんに万一のことがあっても、司法書士が後見人としてご本人をサポートし続けることができます。
このように、成年後見制度の利用には様々なケースが考えられます。何か不安なことや、聞いてみたいことなどがありましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。