インタビュー

就労相談事業の株式会社を設立した「株式会社small farms」代表取締役の熊谷宏さん

投稿日:2023-03-09 更新日:

今回ご紹介するのは、弊所に株式会社設立の登記をご依頼くださった「株式会社small farms」代表取締役の熊谷さんです。

障がいを持つ方をサポートしたいと、就労相談事業を軸に、障がいを持つ方々が楽しく働ける仕組みを作ることを目指していらっしゃいます。

今までのご経歴を振り返りながら、福祉の未来を見据えて突き進む熊谷さんのインタビューをご紹介します。

>今まではどのようなお仕事をされていたのですか?経歴をお聞かせください。

20代後半から約15年ほど、登録販売者としてドラッグストアに勤務していました。

薬を販売するドラッグストアで働く中で、薬の副作用で健康を害したり、精神疾患を患ってしまったりする人がいることを知り、薬の怖さも実感しました。

そんな時、患者さんから「夜遅くまで開いているコンビニが心のよりどころだった」「コンビニで店長と話をすることが楽しみだった」という話を聞いたのです。

夜早くに閉店するドラッグストアではなく、コンビニのように24時間営業の店舗で、薬に関する相談に乗れる専門家がいて、話を聞いたりサポートすることが必要だと思いました。

今でこそ医薬品を販売しているコンビニは多いですが、当時は全くありませんでした。

その後、当時唯一コンビニと提携していた薬局チェーンに転職したのですが、コンビニ提携の計画が頓挫してしまったんです。

>それで思い切って起業をされたのですか?

いいえ、起業はまだ少し先です。

思い描いていたコンビニ提携のドラッグストア事業が叶えられず、この先どうしようか考えていたところ、専門家として就労支援事業所に勤めていた私の親友が「福祉事業で独立するから手伝ってほしい」と声をかけてくれました。

私が考えていた「小売業で障がいを持つ方のサポートをする」とは違い、就労支援事業所の運営という直接的な支援です。

知的障がいや精神障がいをお持ちで一般企業で働くことが難しい方に、トレーニングを兼ねて働く場を提供したり、いろいろな作業を行って地域における社会参加を実践する施設を親友と一緒に運営しました。7年ぐらい続けましたね。

>そのご経歴が、どのようにご自身の起業につながるのでしょうか?

スポットで就労支援事業所の仕事を継続しつつ、自分自身でも実際に何かやりたいという想いが強くなり、相談支援事業を立ち上げました。

介護保険でのケアマネさんと同じような仕事で、障がいをお持ちの方が作業所に通う時、働き方や職場に関するプランを立てます。

そのプランを行政に提出して、許可をもらって初めてその方が作業所を利用できるようになりますが、そのプランを作るためには法人化が必要。相談支援事業をできるようにするために、法人設立をしたという経緯です。

>そのような流れで、株式会社small farmsを設立されたのですね。社名にはどのような意味を込められたのですか?

直訳すると「小さな農園」になります。もともと、障がいを持った方の就労の一環になればと思い、家庭菜園を始めました。

初めてなのでいろんな失敗をしながら、自分ができる範囲で作物を育てることにすごく魅力を感じました。でも、自分の技量を超えた広い土地を耕すと、手に負えなくて作物も育たない。

「最初から大きく広げずに、小さくても持続可能な軸のある事業体をしっかり育てて、ゆっくりといろんな事業体に波及させていきたい」という想いで、small farmsという社名にしました。

しっかり柱になる事業を育てた上で、本当に大きな農場にするのか、そのまま小さな家庭菜園で楽しみながらやるのか…そんな感覚でやっていきたいと思っています。

>障がいをお持ちの方に貢献したいという原動力はどこからきているのでしょうか?

幼少期まで遡ると、母親が看護師だった影響で、比較的「医療」が身近にあった環境でした。歯科技工士やフリーター、ドラッグストアでの勤務を経て、医療に関連した業界や、人と話したり積極的に関わるのが好きという私の性格から、やりたいことや興味のあることを発展させた結果、今のような形に辿り着きました。

最近は、一見しても障がいを持っているか どうかわからないグレーゾーンの方々が多い。人よりコミュニケーションが少し苦手だったり、集中力があんまり続かないとか、ちょっとしたことで人と差が生まれることが多いのです。

その部分は、仕事を提供する側がいろんな角度からアプローチできれば、もっと多様に働けるし、働いたお金を好きなことに使う「働く楽しみ」が生まれる。

そんな働く楽しみややりがいを味わってほしいと強く思います。だから就労支援に深く関わりたいし、障がいをお持ちの方が出会う環境や施設で、その方の生活を大きく変えることができるのです。

また、障がいをお持ちの方は生活保護を受けているケースが多いのですが、生活保護を取り巻く仕組みや制度にも矛盾や不十分な点があると思っています。

生活保護を脱却したり、生活保護が減っても暮らせる仕組みを作り、強い想いを持って自ら行動すればいろんなことができると伝えたいと思っています。

>法人の設立にあたっては、どんな点が不安でしたか?

何もわからない中での法人設立だったので、不安は大きかったです。

親友は福祉事業所を立ち上げた際に、全て自分たちで手続きを行っていました。

私も少し手伝ったのですが、ものすごくややこしくて、親友も苦労していましたし、「難しい・苦手」というイメージしかありませんでした。

福祉事業の申請など、通常の業務をしながら法人設立の手続きを一人ですると考えたら、これはもう絶対に無理だと思い、税理士さんに木村先生を紹介していただきました。

木村先生はものすごく物腰の柔らかい方。説明もわかりやすいですし、細かい質問にも丁寧に答えていただけて、ものすごく好印象でした。

できること・できないことを最初に明確にしていただいたので、安心してお任せできましたし、法人設立も不安なく進めることができました。

自分で手続きをするより費用はかかりますが、お願いしてよかったと、金額以上の価値を感じています。

>今後は株式会社small farmsをどのように育んでいかれるのでしょうか?

行政から依頼を受ける相談事業できちんと収益の軸を作りつつ、障がいを持った方が楽しく意義を持って働ける就労支援の一環として、「焼き芋キッチンカー」を運営したいと思っています。

焼き芋って、嫌いな人がいないと思います。子供からお年寄りまで、特に女性は甘い焼き芋が大好きな人が多い。福祉の枠組みの中での就労支援は、構造面の問題もあり、なかなか「仕事が楽しい」と言える状況ではないのが現状。

でも、焼き芋を焼いて提供することで喜んでくれる人の顔を見ると、それだけで楽しいと思えます。障がいをお持ちの方々が、働くことの楽しさを実感できる仕組みづくりをしていきたい、その一つが「焼き芋」なんです。

ゆくゆくは、立ち上げた事業で収益化を達成し、福祉の現場に展開可能なサービスパッケージを作って展開することが今後の目標です。

また、公認心理士の資格も持っているので、企業で働く人のカウンセリングなども視野に入れています。社員数が50名以上の企業はストレスチェックが義務化されているのですが、50名未満の会社でも従業員のメンタルヘルスは大変重要です。公認心理士の資格をいかして、そのような企業へのサポートなども行っていきたいと思っています。

長年抱き続けた「熱い想い」を胸に、より良い仕組みづくりを目指す熊谷さん。困った時にはご相談いただけるパートナーとして、今後もサポートさせていただけたら幸いです。この度はインタビューをお受けいただき、ありがとうございました。

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