相続

遺産分割協議のあとに遺言書が見つかるとどうなる?

投稿日:2019-12-06 更新日:

ご家族で話し合って相続分を取り決めたのに、あとから遺言書が見つかることがあります。

こんなとき、見つかった遺言書をどう扱えばいいのでしょうか。家族それぞれの相続分についても、先に話し合った内容と遺言書のどちらが優先されるのでしょうか。

今回の記事では、そんな疑問に答えたいと思います。

 

まずは「遺言書の検認」を行う

遺言書が見つかったら検認をもらう

 

遺言書が見つかったときは、発見した人が家庭裁判所に届け出なければなりません。そのあとは相続人立ち合いのもと裁判官が遺言書開封を行います。この一連の手続きは「遺言書の検認」と呼ばれています。

故人のご家族にとって大変なのは、ご本人と相続人全員分の戸籍謄本を添えなければならない点です。しかし「面倒だから」といって勝手に遺言を開封してはいけません。

家庭裁判所に届け出る前に遺言書の開封することは、法律で禁止されているからです。

 

【注意】開けてしまうと過料がある

それでも万が一検認を受ける前に開封してしまうと、5万円以下の過料があります。

最も悪いのは、ご家族から「内容を改ざんしている」と疑われてしまうことです。改ざんがあったと裁判所が認めれば、開封者の相続権が無くなってしまいます(法律用語で相続欠格と呼びます)。

 

公正証書遺言は検認不要

見つけたものが「公正証書遺言」だったときは、家庭裁判所に届け出て検認を受ける必要はありません。すでに公証役場(行政機関のひとつ)で内容が証明されており、作成日や作成した人の情報もしっかりと記録されているからです。

 

遺言書発見前の遺産分割協議はどうなる

遺言書が見つかったら遺産分割協議はどうなる

 

検認のときに分かった遺言書の内容が、先に行った遺産分割協議の内容と違うときもあります。そんなときは、相続手続きをやりなおす必要があるのでしょうか。

よくあるのが次のような例です。

  • 「遺言書通りに相続手続きをやり直したい」と家族が希望している。
  • 遺言書に日付も印鑑もない。
  • 遺言書に知らない親族の名前が書かれていた。

相続をやり直すべきなのか、それとも既に済んだ話し合いの通りに相続を終えてしまってもよいのか、各事例で詳しく見てみましょう。

 

家族が相続手続きのやり直しを希望している場合

相続権のある人がひとりでも「遺言書通りにやり直したい」と言っているなら、先に行った遺産分割協議は無効です。つまり、遺言書の内容にそって相続分を決めなおすことになります。

よくあるのは、また別のご家族から「いや、もう一度じっくり話し合うべきだ」という意見が出るケースです。大切なのは全員が同じ意見に達することですから、ここで遺言の内容を実現するかどうか、もう一度遺産分割協議を開く必要があります。

 

遺言書が書式上無効だった場合

故人が自筆した遺言書(これを自筆証書遺言と呼びます)には、厳格な作成ルールがあります。発見された遺言書がルールに沿って書かれていなければ、その内容は効果を発揮しません。

つまり、先に行った遺産分割協議の内容で相続手続きを終えることが出来ます。

参考:よくある自筆証書遺言の無効例

  • 日付の記載がない
  • パソコンで書かれている
  • 代筆で書かれている
  • 書面ではなく録音記録
  • 加筆修正のルールが守られていない

 

遺言で相続人の構成が変わるとき

遺言書でよくあるのが、相続権のある家族の構成(人数)が変わるような内容です。

こういったの内容が書かれているときは、遺産分割協議は無効になります。まずは具体的な例を2つ挙げて、その理由を説明しましょう。

 

遺言書で子が認知されていた場合

遺言書で昔の恋人や愛人とのあいだの子が認知されていたとき、問題になるのが「遺留分」という制度です。

亡くなった人の子どもに対しては、法律で保障された最低限の取り分(=遺留分)が認められています。そして、遺言書によって新たに判明した婚外子にも、遺留分の権利は生じているのです。

「先にやった遺産分割協議の内容で構わない」と家族全員が考えていても、婚外子の遺留分は無視できません。遺言の内容を実現するよう相続をやりなおすか、異論のある家族がいる場合は婚外子を加えて話し合う必要があります。

 

特定の家族が相続人から外されていた場合

遺言書に「特定の家族を相続人から外す」という内容が書かれていることがあります(法律用語では相続廃除と言います)。生前なんらかの理由で仲が悪かったのでしょう。

このケースでは、外された相続人を最初からいなかったものとして、相続手続きをやりなおす必要があります。子の認知と同様に、遺留分にも変化があります。

 

遺言書で相続人構成が変わる時は「遺言執行者」が必要

遺言書による認知・廃除で相続人構成が変わるケースでは、相続手続きをやりなおすために「遺言執行者」が必要です。

遺言執行者とは、その名の通り遺言書の内容実行を役割とする人です。遺産の名義変更を行ったり、遺産に含まれる現金以外の資産を分割するために売却したりします。

 

遺言執行者を相続人が自由に決めることは出来ません。利害関係にない公平な立場であることが必須資格だからです。故人が遺言執行者を指定していないなら、相続人から家庭裁判所に申し立てて選んでもらいます。

 

おわりに

遺産分割協議のあとに遺言書が見つかったときは、開封せずにそのまま家庭裁判所へ「検認」をもらいに行きましょう。問題は、内容をチェックした結果以下のような事態になったときです。

相続手続きがやり直しになるケース

  • 「遺言書通りにやり直したい」と望む相続人がいる場合
  • 出てきた遺言書によって相続人構成が変わる場合

亡くなられた時点でよく遺言書を探しておけば、このような事態は避けられます。生前準備の一環として対策するなら、公正証書遺言を作成する・家族に遺言書の場所を知らせておくなどの方法が良いでしょう。

もしものことがあったときに参考にしてみてください。

 

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