こんにちは。司法書士の木村安一です。
実は箕面で夏を過ごすのは初めてだったりします。大阪の中では箕面は涼しいイメージですが、7月に入って箕面もぼちぼち夏の兆しが見えてきました。夏は好きです。青い空に入道雲。わくわくしてきます。
さて、今日は夫婦に子どもがいない場合の相続について考えてみたいと思います。相続手続にもいろいろなケースがありますが、中でも頭が痛くなるケースがご夫婦の間にお子さんがいない場合です。
ご夫婦にお子さんがいる場合、夫が亡くなったときの相続人は妻と子どもですね。では、子どもがいない場合は誰が相続するのでしょうか?ご両親がご存命なら、妻と夫のご両親が相続人になります。ご両親がすでにお亡くなりなら、妻と夫の兄弟姉妹が相続人になります。では、夫の兄弟姉妹が亡くなっているときは?その場合、夫の兄弟姉妹の子どもたちが相続人になります。お亡くなりになる方はご高齢の方が多いので、兄弟姉妹もご高齢なんですね。つまり、お亡くなりになっている兄弟姉妹の方もよくおられるわけです。
つまり、ご夫婦にお子さんがいない場合、妻と夫の兄弟姉妹やその子どもたちが相続人となるわけです。相続人は全部で何人になるでしょうか?相続人が10人を超えることもよくあります。50人を超えることも稀にあります。
で、何が問題なのかというと、夫の甥やら姪やらを全員探し出して、同意を得て、実印と印鑑証明書をもらってこないといけなくなるということが問題になります。相続人は全員、夫の財産に対して相続権を持っています。長年夫婦で暮らしてきた家に妻が引き続き住み続けたり、ふたりで一生懸命貯めてきた大切な預金を使ったりするためには、遺産分割で他の相続人に相続権を放棄してもらう必要があります。
しかし、夫の甥や姪は往々にして相続権を放棄してくれません。相続権はお金になりますし、面識のない親戚に対しては実印を押してくれないことがよくあります。結果、話し合いがまとまらずに、妻は不本意なアパート暮らしや居候生活を強いられることもあります。長年連れ添ってきた夫が亡くなって悲しみが癒えない中で、これは大変なストレスです。
では、どうすれば妻の生活を守ることができるか?そう、遺言です。遺言を遺して、妻に全財産を譲る旨を書いておけば、夫亡き後の妻の生活を守ることができます。
「私の親戚は仲が良いから大丈夫」、実際そうおっしゃる方は多いです。しかし、相続トラブルの中にある方は「相続でお金がからむ前は仲が良かったのに」とおっしゃる方が多いのも事実です。残念なことですが、お金が目の前に現れると優しい気持ちは後ろに隠れてしまいがちです。この仕事を始めて、そう実感するようになりました。
遺言を書いておけば、残された方々の負担を軽くできます。家族の絆を守ることができます。